小説-目覚めた男
邪気眼の下りは自然と脳裏で再生された感じだった。俺は決して厨二病ではないが、この年にもなって邪気眼がどうのだとか、神のご加護などの言葉が出てくるとは思わなかった。自分でも無意識だったこれらの思考が、病気で呼び起こされたのかもしれないが、と…
「綺麗さっぱり無くなっていますね」 「そんな馬鹿な」 聞けば脳にできた腫瘍は跡形なく消えているという。レントゲンを見ながら医師にそう告げられた。病院での定期検査、突然の事である。 「先生、俺の寿命は長くなかったのではないですか」 「その筈だっ…